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ショッピングのリボ払いは、債務整理の対象になる
ショッピングのリボ払いは債務整理することが可能で、債務整理は任意整理、自己破産、個人再生、特定調停の4つの選択肢があります。
リボ払いによる借金の場合、任意整理が選択されることが多いですが、借入や収入など個人の状況によって違います。
そのため、どの債務整理の手段を選ぶべきかは、弁護士などの専門家に相談してみましょう。
ここからは、リボ払いの債務整理として選択されることが多い「任意整理」をした場合のメリット・デメリットをお話しします。
リボ払いを任意整理するメリットは、将来利息をカットでき、督促を止められる
リボ払いを任意整理すると、以下のようなメリットが得られます。
1.将来利息をカットできるので、返済が楽になる
ショッピングのリボ払いを任意整理する最大のメリットは、将来的にかかる利息の支払いが免除されることです。
具体的に、どのくらい利息がカットされるのか、リボ払いの借金を任意整理で返した場合、そのまま返済し続けた場合とで比較してみましょう。
- 【比較】リボ払いの残高200万円の人が「そのまま返済し続けた場合」と「任意整理」をした場合
そのまま返済を続けた場合 任意整理をした場合 返済回数 50回 50回 月々の返済額 5万4305円(平均) 4万円 合計返済額 261万2,111円 200万円
上記の通り、債務整理をすると、60万円以上の利息の支払いが免除されます。 かなり大きな金額ですよね。
2.電話や書類の督促を止められる
債務整理を弁護士や司法書士などの専門家に依頼すると、専門家は借入先に「受任通知」を送ります。
借入先が受任通知を受け取ると、法律に基づいて借入先は取り立てができなくなるので、電話や書類による督促が止まります。
このように、任意整理をするメリットは多いですが、一方で任意整理の影響(デメリット)もありますので、きちんと把握しましょう。
リボ払いを任意整理するデメリットは、新たな借り入れができなくなる
リボ払いを任意整理すると、以下のようなデメリットがあります。
1.クレジットカードの利用や新たな借り入れができなくなる
任意整理をすると、約5年間ブラックリストに登録されます。
厳密には、「ブラックリスト」というリストが存在するわけではなく、信用情報機関に任意整理をした記録が残ります。
ブラックリストに登録されると、クレジットカードを作ったり、新たに住宅ローンを組むことができません。
なぜなら、金融機関は個人信用情報機関の情報をチェックして、お金を貸してもよい人なのか審査をしているからです。
しかし、ローンやキャッシングを利用できなくなることで、現金で生活をする習慣が身につくため、任意整理がお金の使い方を見直す、よいきっかけになったと考える人も多いです。
※ブラックリストの生活への影響や対処法については「債務整理するとブラックリストに何年載る?期間中の対処法5つ」をご覧ください。
2.借金そのものを減らすことはできない
「任意整理をすると、借金自体が減ることがある」と聞いたことはありますか?
年率15%を超える借金の場合は、利息制限法に基づいて残高自体を減額できる可能性があります。
しかし、一般的にショッピングのリボ払いの年率は15%なので、利息制限法にギリギリ抵触せず、借金自体は減額されません。
先ほどお話しした通り、任意整理で実現できるのは将来利息のカットのみなので注意しましょう。
ここまで、リボ払いを任意整理したときのメリット・デメリットを説明しました。
任意整理についてくわしく知りたい人は、「任意整理で借金は減らせる?メリット・デメリット、手順まとめ」の記事も確認してみましょう。
次に、ショッピングのリボ払いが原因で借金がかさみ、任意整理した方の体験談をお伝えします。
リボ払いの任意整理の体験談
リボ払いが原因で借金が増えてしまい、任意整理を選択した方の体験談です。
Aさんの場合
年齢・性別 | 職業 | 任意整理前後の借金額 |
---|---|---|
30代・男性 | 会社員 | 180万円→140万円 |
コメント
借金のキッカケは、営業職で日によって空き時間があり、時間つぶしにパチスロ店に通い始めたことです。負けが込み始めると手軽に借金できる消費者金融を利用するようになり、複数社でリボ払い返済を続けるうちに借金総額が分からなくなってしまいました。
毎月4万円ずつ返済していましたが、交際費がかさんだ月には他社でも借金をするようになり、最終的に4社から借金をするように。
任意整理をするキッカケは、内緒にしていた私の借金が妻にバレてしまい、法律事務所に相談してくれたことです。
相談に行くまでは本当に借金を完済できるか不安でしたが、専門家に相談したことで不安が解消されました。
毎月の返済に神経を使うことがなくなり、妻に内緒で借金を続けていた自分のだらなしなさも改善できたと思います。今はパチスロ店に近づくことはなくなり、少しずつですが貯蓄もしています。
Bさんの場合
年齢・性別 | 職業 | 任意整理前後の借金額 |
---|---|---|
30代・男性 | フリーター | 200万円→140万円 |
コメント
ポイントがもらえるという理由で、ネットショッピングでリボ払いをし始めました。そのうち、支払いが苦しくなるとリボ払いするようになり、借金が膨らんでいきました。借り始めて2年がたち、返済会社が3社になると月々の返済額が2万円を超えました。
お小遣いが月々3万円ほどだったので、リボ払いの支払いをすると残金は1万円弱となり、資金繰りが厳しくなっていったんです。少ないお小遣いを増やそうとパチンコをするようになり、ますます借金が増えていきました。
家族や親戚に相談できず悩んでいたとき、テレビCMで弁護士事務所が県内各地を巡回して相談会をしていることを知り、相談することにしたんです。任意整理の手続きをしたことで、借金が減って生活がかなり楽になったので、もっと早く知りたかったと本気で後悔しました。
この方たちは任意整理によって借金を減らすことができましたが、なぜリボ払いは借金を増やす原因となってしまうのでしょうか?
その答えは、リボ払いの仕組みにありました。
リボ払いは返済が難しい!その理由はリボ払いの仕組みにあった
リボ払いとは、クレジットカードの使用金額に関わらず、月々の返済額が一定になる返済方法のこと。
実は、リボ払いは借金が増えやすく、増えた借金をなかなか減らせない、怖い仕組みなんです。
くわしく説明していきます。
リボ払いの利率は年率15%。消費者金融と変わらない水準
あまり知られていませんが、リボ払いの利率は年率15%と非常に高いです。
消費者金融の年率が4%~18%くらいなので、その利率に匹敵するほどの水準です。
そして、リボ払いはたくさん利用しても返済金額があまり増えません。
たとえば、返済金額を2万円に設定していたら、リボの残高が10万円でも100万円でも返済金額は変わりません。
(カード会社によっては、借入残高が20万円以内なら5000円、20万円を超えると1万円と、残高に応じて支払金額が変わることもあります)
このような仕組みになっているため、リボ払いを利用すると、借金が増えやすい傾向があります。
リボ払いの返済は、ほとんどが利息の支払いに充てられている
リボ払いの残高が増えていくと、月々の返済額の大半が利息の支払いに充てられるようになります。
たとえば、リボ払いの残高が100万円で年率15%の場合、月々に支払う利息は1万2,500円。
もし、リボ払いの設定金額が2万円だった場合、残高の返済に充てられるのは2万円から、利息の1万2,500円を引いた7,500円のみ。
支払い金額の約3分の1ほどしか、元金の返済に充てられません・・・。
リボ払いは月々の返済額が増えないため、継続して利用してしまいがち
先ほどの例のように、リボ払いは残高が100万円でも月々の支払金額が2万円、などというケースもあり、月々の返済額が多くないため、支払い自体は遅れずにできることが多いです。
しかし、毎月の支払ができているからこそ、利用者は債務過多になっていることに気づかずリボ払いを利用し続け、ますます借金が増えていってしまうのです。
リボ払いの支払い方式は、元利方式と元金方式
ちなみに、リボ払いの支払い方式は、ふたつに分類できます。
契約しているクレジットカード会社のWebサイトで、リボ払いのサービスページをチェックすると記載があります。
- 元利方式
元利方式とは、返済金額は一定で、その返済の中に利息を含む方式です。
たとえば、支払いの設定金額が2万円で利息が3,000円の場合、元金に充当されるのは1万7,000円となります。
- 元金方式
元金方式とは、月々定めた返済金額に上乗せする形で利息を含む方式です。
たとえば、支払いの設定金額が2万円で利息が3,000円の場合、支払い総額は2万3,000円となり、2万円は借金残高の返済に、3,000円が手数料に充てられます。
では、支払方法によって、総返済額がどう違うのかシミュレーションしてみましょう。
元利方式
20万円の買い物をリボ払いの定額方式で支払ったとします。
毎月1万円を返済していくと、返済期間は24ヶ月、返済総額は23万1,576円となります。
詳細は以下の通りです。
回数 | 支払額 | 元金 | 手数料 |
---|---|---|---|
1 | ¥10,000 | ¥7,500 | ¥2,500 |
2 | ¥10,000 | ¥7,594 | ¥2,406 |
3 | ¥10,000 | ¥7,689 | ¥2,311 |
4 | ¥10,000 | ¥7,785 | ¥2,215 |
5 | ¥10,000 | ¥7,883 | ¥2,117 |
6 | ¥10,000 | ¥7,981 | ¥2,019 |
7 | ¥10,000 | ¥8,081 | ¥1,919 |
8 | ¥10,000 | ¥8,182 | ¥1,818 |
9 | ¥10,000 | ¥8,284 | ¥1,716 |
10 | ¥10,000 | ¥8,388 | ¥1,612 |
11 | ¥10,000 | ¥8,493 | ¥1,507 |
12 | ¥10,000 | ¥8,599 | ¥1,401 |
13 | ¥10,000 | ¥8,706 | ¥1,294 |
14 | ¥10,000 | ¥8,815 | ¥1,185 |
15 | ¥10,000 | ¥8,925 | ¥1,075 |
16 | ¥10,000 | ¥9,037 | ¥963 |
17 | ¥10,000 | ¥9,150 | ¥850 |
18 | ¥10,000 | ¥9,264 | ¥736 |
19 | ¥10,000 | ¥9,380 | ¥620 |
20 | ¥10,000 | ¥9,497 | ¥503 |
21 | ¥10,000 | ¥9,616 | ¥384 |
22 | ¥10,000 | ¥9,736 | ¥264 |
23 | ¥10,000 | ¥9,858 | ¥142 |
24 | ¥1,576 | ¥1,557 | ¥19 |
計 | ¥231,576 | ¥31,576 |
元金方式
20万円の買い物を毎月1万円の元金方式で支払う場合は、返済回数20回で総返済額は22万6,250円です。
回数 | 支払額 | 元金 | 手数料 |
---|---|---|---|
1 | ¥12,500 | ¥10,000 | ¥2,500 |
2 | ¥12,375 | ¥10,000 | ¥2,375 |
3 | ¥12,250 | ¥10,000 | ¥2,250 |
4 | ¥12,125 | ¥10,000 | ¥2,125 |
5 | ¥12,000 | ¥10,000 | ¥2,000 |
6 | ¥11,875 | ¥10,000 | ¥1,875 |
7 | ¥11,750 | ¥10,000 | ¥1,750 |
8 | ¥11,625 | ¥10,000 | ¥1,625 |
9 | ¥11,500 | ¥10,000 | ¥1,500 |
10 | ¥11,375 | ¥10,000 | ¥1,375 |
11 | ¥11,250 | ¥10,000 | ¥1,250 |
12 | ¥11,125 | ¥10,000 | ¥1,125 |
13 | ¥11,000 | ¥10,000 | ¥1,000 |
14 | ¥10,875 | ¥10,000 | ¥875 |
15 | ¥10,750 | ¥10,000 | ¥750 |
16 | ¥10,625 | ¥10,000 | ¥625 |
17 | ¥10,500 | ¥10,000 | ¥500 |
18 | ¥10,375 | ¥10,000 | ¥375 |
19 | ¥10,250 | ¥10,000 | ¥250 |
20 | ¥10,125 | ¥10,000 | ¥125 |
計 | ¥226,250 | ¥26,250 |
このように、借金の元金に充当される金額が多い「元金方式」のほうが、支払回数が短く、利息も少ないことがわかります。
また、もし上記の返済金額が1万円ではなく5000円だった場合は、返済回数は40回、利息は25万1,240円にも上ります。
20万円の買い物にリボ払いを利用したことで、最終的には45万1,240円も支払うことになってしまうんです・・・。
ちなみに、リボ払いの月々の返済額は、以下のいずれかであることが多いです。
- 定額方式
- 定額返済方式とは、残高に関わらず、月々の返済金額が変わらない方式です。
支払い金額は、カード会社の規定で決まっている場合や、自分で決められる場合もあります。
- 残高スライド方式
- 残高スライド方式は、カード会社の規定に基づいて、毎月の残高に応じて月々の返済金額が決まります。
リボ払いを使用している人は、使用しているカード会社はどの方式か、一度チェックしてみましょう。
返済の遅れがなくても、借金が増え続けている場合は早めに弁護士に相談を
リボ払いの仕組みと怖さ、おわかりいただけましたか?
リボ払いは毎月の支払い額は少なく、なんとか返済できてしまうため、その怖さに気づかずに利用し続けてしまう人が多いです。
そして、リボ払いの限度額がいっぱいになったり、毎月の支払いができなくなったときには、任意整理ができないほど借金が増えていることもあります。
なぜかというと、任意整理は借金を3~5年で返済できることが条件となるため、その範囲を超えると任意整理ができないからです。
任意整理ができない場合は、自己破産など、ほかの債務整理の手段を選択するしかありません。
自己破産も法的に認められた救済手段ですが、任意整理と比べると家族に秘密にしづらかったり、職業の制限があったりするなど、デメリットが多いです。
そのため、「リボ払いを利用しているけど、毎月の支払いは遅れていないから大丈夫」と思っている方も注意してください。
もし、借金がなかなか減らなかったり、リボ払いをずっと利用していたりする場合は、早めに弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。