目次
任意整理にかかる専門家への費用と相場
任意整理をするにはどれくらいの費用がかかる?
任意整理の費用は、主に弁護士や司法書士への報酬です。弁護士に依頼した場合は、(貸金業者)1社あたり3~5万円+減額報酬(10%~20%)が目安とされています。
たとえば、1社から100万円の借金をしていて、任意整理によって70万円まで減額できた場合の費用は、6万円~11万円といった具合です。
任意整理は債権者1社ずつ交渉して減額に応じてもらう手続きなので、債権者数で大きく変わりますし、弁護士や司法書士によっても異なります。
自分で手続きすれば安くなる?
もし弁護士や司法書士に依頼せず任意整理を行えば、債権者へ郵送する書類の切手代と合意書に貼付する印紙代(1社あたり2,000円程度)しかかかりません。
しかし、任意整理は「借金を減らしてください」と債権者に交渉する手続きです。そのため自分で交渉しようとしても、貸金業者に相手にされなかったり、失敗するのが現実です。やはりプロに依頼したほうが得策でしょう。
個人再生や自己破産だとどれくらいかかる?
個人再生や自己破産といった他の債務整理は、裁判所を介しての手続きとなるため、弁護士費用に加えて裁判所費用も必要です。
費用の目安はそれぞれ、個人再生ならば50万円以上、自己破産であれば30万円以上は必要になります。
もちろんケースバイケースではあるものの、任意整理は債務整理の中でもっとも費用のかからない方法だといえるでしょう。
任意整理の弁護士費用の内訳について教えてください
決して安くない任意整理の弁護士報酬ですが、内訳は以下のようになっています。
弁護士にかかる費用内訳(目安) | ||
---|---|---|
相談料 | 0円~1万円 | 専門家に依頼する前に、借金問題の相談をした時にかかる費用。 事務所によっては相談料無料としていたり、メール・電話相談は無料としている場合もある。 |
着手金 | 債権者1社あたり0~3万円 | 実際に弁護士に依頼する時に支払う費用。 |
基本報酬 | 債権者1社あたり3~5万円 | 任意整理の結果、減額できた時に支払う費用。 |
過払い成功報酬 | 戻った分の20% | 利息制限法による利息の引き直しにより、過払い金を取り戻せた場合のみに支払う費用。 |
任意整理するよりも弁護士費用が高くつくケースは?
弁護士費用の大半は減額に応じて発生する成功報酬です。そのため任意整理する必要もないほど少額の借金でない限り、任意整理で減った額が弁護士費用を下回るケースはほぼありません。
簡単なモデルケースで比較をしてみましょう。
たとえば1社から150万円の借金があり、金利18.0%で借りていたとします。
これを3年で完済すると利息は45万2214円になり、任意整理でこの利息を全額カットした場合、かかる弁護士費用の内訳は以下の通りです。
- 相談料:0万円
- 着手金:3万円×1社=3万円
- 基本報酬:2万円×1社=2万円
- 減額報酬:45万2214円×20%=9万4428円
- 合計:14万4428円
任意整理でカットした利息45万2214円に対して、かかる弁護士費用は14万4428円です。

任意整理は交渉次第ですから、将来利息のカット以外にも借金そのものを減額できる可能性もありますし、弁護士費用も安く設定している弁護士事務所も多くあります。
今すぐ任意整理費用を用意できない場合の支払い方法5つ
借金の返済に追われていて弁護士費用を用意できません。何かいい方法はありますか?
「弁護士費用が払えないから任意整理できない」
そう考えて任意整理に踏み出さない方も多いのではないかと思います。そんな場合の対処法として以下の4つが挙げられます。
「弁護士費用が払えないから任意整理できない」
そう考えて任意整理に踏み出さない方も多いのではないかと思います。そんな場合の対処法として以下の4つが挙げられます。
- 法テラスを利用する
- 司法書士に依頼する
- 分割払いにする
- 債権者への返済を一時的にストップさせる
それぞれ詳しく解説していきます。
1.法テラスを利用する
法テラスとは…
法テラスは、一定額以下の収入の人に法律的支援してくれる機関で、日本各地に事務所があります。
法テラスでは、弁護士や司法書士による無料相談が受けられます。
また法テラスを通して弁護士に依頼すると、成功報酬が通常の半額になるなど、費用がやすくなる場合があります。
ほかにも、相談料が30分3回まで無料になったり、生活保護者は支払いが免除されたりと、さまざまな援助が用意されています。
2.司法書士に依頼する
司法書士の場合、弁護士に比べて依頼費用がやや安い傾向にあります。
- 弁護士:(貸金業者)1社あたり3~5万円+減額報酬(10%~20%)
- 司法書士:(貸金業者)1社あたり3~5万円+減額報酬(10%~20%)
ただし注意してほしいのは司法書士の場合、債権者1社につき140万円以上の借金がある場合は介入できません。
また引き直し計算をして140万円以上の過払い金があった場合も、司法書士は介入できないことになっています。
たとえば過払い金が200万円あったとしても、依頼したのが司法書士であれば、戻ってこない場合もあるのです。
弁護士か司法書士どちらがいいのかは、その人の状況にもよりますが、「1社につき借金額が100万円以下」「借入期間が5年以内」であれば、司法書士に依頼してみましょう。
3.分割払いにする
費用を安く抑えるというわけではありませんが、今すぐお金が用意できなくても任意整理するには、弁護士費用を分割払いにするという方法もあります。
債務整理を扱っている弁護士も「任意整理をしようとする人は、弁護士費用を一括で払うだけの余裕はない」ということは十分に理解しています。
そのため、多くの弁護士事務所では分割払いに応じています。
任意整理であれば最長36回、3年払いまで応じてくれる弁護士が多いようです。
「任意整理後の借金の返済」と「弁護士費用の分割払い」、両方を毎月支払うのが苦しい場合は、先に弁護士費用を支払い終えてから借金返済することも可能です。
弁護士には、任意整理後の返済計画についてもしっかりと話し合っておきましょう。
弁護士を選ぶポイントについては任意整理はどうやって弁護士を選ぶ?失敗しない4つのポイントで詳しく紹介しています。
4.債権者への支払いを一時的にストップさせる
弁護士や司法書士に任意整理の依頼をすると、「私、〇〇弁護士は、△△さんからの依頼に基づき任意整理の手続きをします。」という通知書を各債権者に送ります。
この通知書を受任通知といいます。
受任通知には法的な効力があり、送付した時点から任意整理の手続きが終わるまでの間、借金の返済をストップできます。
任意整理の手続きが終わるまでの期間は約3カ月程度が目安です。毎月10万円ずつ返済していたとすると、3カ月で合計30万円の余裕が生まれます。
任意整理をする多くの人が、この期間に生まれたお金を弁護士費用と任意整理費用に充てています。
弁護士事務所によっては任意整理を安く引き受けてくれる事務所もあります。
費用を安くするためには、1か所だけではなく、複数の弁護士事務所に相談し、それぞれ見積もりをもらって見比べてから、正式に依頼することも可能です。
このように任意整理にかかる弁護士費用は、無理なく支払えるよう、さまざまな方法があります。費用を心配して、任意整理手続きを躊躇してしまうのはもったいないといっていいでしょう。