2018.12.03更新

任意整理とは | メリット・デメリットを比較してベストな解決方法を知る

任意整理で借金減額

「自己破産以外に借金返済方法はないの?」
「任意整理で借金問題が解決できるって本当?」

借金の返済に困った時の解決策「債務整理」のうち、自己破産がよく知られています。
しかし実際には、自己破産をしなくてもすむケースがほとんどで、多くの方が「任意整理」で解決しています。

その理由は、任意整理は自己破産のように「財産を失わない」「資格を制限される」といったデメリットが少なく、家族や会社にバレにくい手続きだから。

では具体的に「任意整理とは何か?」「どんなデメリットがあるか?」「どんな人が任意整理を検討すべきか?」について、詳しく紹介していきます。


目次

任意整理とは

任意整理とは、借入先の金融機関と交渉して借金を無理なく返済できるようにする手続きです。

具体的には

  • 将来利息をカットする
  • 返済期間を3~5年で完済できるようにする
  • 月々の返済額を見直す
  • 借金を正しい金利で計算し、過払い金が発生していれば減額する

ことで、月々の返済の負担を軽くしながらも、最終的には自分の力で借金を完済していきます。

「自己破産」「個人再生」と同じ債務整理の一種ですが、裁判所を通さないため、デメリットや生活への影響が最も少ない手続きともいえるでしょう。

そのため、債務整理をするほとんどの人が任意整理を選択しています。

債務整理の利用者人数(平成27年)
任意整理 不明(推定200万人以上)
個人再生 7,798人
自己破産 64,081人

出典:裁判所司法統計より ※自己破産は個人の利用件数で法人は含まれていません

任意整理のメリット・デメリット

借金解決の方法として、すべての人に任意整理が有効とは限りません。まずは手続きする前に、任意整理のメリットとデメリットを比較してみましょう。

【メリット】

  • 利息がカットされ、元金のみを返済する
  • 過払い金が発生していれば元金も減らせる
  • 督促や取り立てがなくなる
  • 毎月の返済額が減る
  • 借金完済のゴールが見え、将来への不安が軽減される
  • 任意整理したい借入先を選べる

【デメリット】

  • ブラックリストに載り、クレジットカードやローンの利用ができなくなる

「借金の返済が苦しい」「いつ完済できるかわからず、先が見えない」理由は、利息の存在です。

任意整理の手続きでは、まずその利息をカットして元金のみの支払いとします。その結果、返済総額は確実に減りますし、毎月の返済額も軽減されます。さらに手続き後は元金のみの返済になるため、支払った額だけ借金残高が減る点も大きなメリットです。

ほかにも特定の借入先にだけ任意整理を申し込みできるという特徴もあります。そのため「A社の借金は減額したいけど、車は使い続けたいからB社のローンは返し続けたい」といった場合、B社は任意整理をしないという選択も可能なのです。

注意しておくべきは、任意整理をすると約5年間、信用情報機関に記録が残ることです。いわゆるブラックリストに入りのことで(個人再生・自己破産は約10年)、期間中はクレジットカードを作ったり、住宅ローンやキャッシングが利用できなくなります。

任意整理と自己破産・個人再生の違い

任意整理と他の債務整理の違いについてまとめましたので、ぜひご覧ください。

任意整理 個人再生 自己破産
借金の減額度 ★★☆☆☆
原則、利息のみ
★★★★☆
1/5程度まで減額
★★★★★
全額免除される
手続きの難易度 ★★☆☆☆
専門家に依頼すれば手続きはそれほど必要ない
★★★★☆
書類作成や裁判所への出廷などが必要
★★★★☆
書類作成や裁判所への出廷などが必要
デメリットの多さ ★☆☆☆☆
ブラックリストに載る
★★★☆☆
ブラックリストに載る
官報に掲載される
債権者を選べない
(住宅以外の)ローン支払い中の財産は失う
★★★★☆
ブラックリストに載る
官報に掲載される
債権者を選べない
家や車などの財産を失う
職業や資格に制限がかかる
手続き期間 ★☆☆☆☆
約1~3ヶ月
★★★★☆
6~12ヶ月
★★★☆☆
3~6ヶ月
手続きにかかる費用 ★☆☆☆☆ ★★★★☆ ★★★☆☆
保証人 ★☆☆☆☆
任意整理の対象から外した債務については影響なし
★★★★★
返済義務が移る
★★★★★
返済義務が移る
バレる危険性 ★☆☆☆☆
(債権者1人にき)
★★☆☆☆
基本バレない
★★☆☆☆
基本バレない

※債権者=請求する権利をもつ人。つまり消費者金融や銀行など借入先の金融機関のこと

どの債務整理を選択するかは、収入と借金の状況によって決まります。

任意整理と他の債務整理の最も大きな違いは「裁判所を介さない」ことです。

そのため任意整理は原則、将来利息のカットによる減額しか望めませんが、「個人再生」や「自己破産」は裁判所の効力のおかげで大幅な減額やすべての借金を免除することが可能です。

借金額を減らすのであれば「個人再生」や「自己破産」の方が有効かもしれません。ただし減額幅が大きいほど、デメリットや生活への影響も大きくなります

したがって債務整理を考える時は

  • まずは任意整理
  • 次に個人再生
  • それでもダメなら自己破産

といった順に考えましょう。

任意整理と他の債務整理の違いについては「債務整理で借金の悩みを解決!メリットやデメリットをわかりやすく解説」でさらに詳しく紹介しています。

どの債務整理にすべきか?専門家に相談する

任意整理、その後の生活はどうなる?

ここからは任意整理をした後の返済や生活にどのような影響があるのかについて解説します。

手続き後の返済

任意整理をした後は和決定した返済計画に基づいて、原則3年間の分割払いで毎月の返済を行います。返済方法は以下の2つのうちどちらかを選択します。

  • 自分で各業者に振込送金をする
  • 弁護士・司法書士を通して各業者に送金してもらう

弁護士や司法書士を通して送金すると、1,000円程度の手数料がかかります。しかし任意整理後は、できるなら金融機関とのやりとりはできるなら避けたいもの。金融機関とのやりとりが心理的負担になるのであれば利用してみてはいかがでしょうか。

生活への影響

任意整理のデメリットはブラックリストに載ることです。それにより以下のような影響が考えられます。

任意整理にかかわらず、どの債務整理を選択したとしても「ブラックリスト状態」になります。任意整理の場合は約5年間で復活しますが、その間、以下のようなことができなくなります。

  • クレジットカードや住宅ローンが利用できなくなる
  • カードローンやキャッシングが利用できない
  • 携帯電話やスマホ購入する際、分割払いができない
  • まれに賃貸住宅の入居審査に通らないケースがある

ブラックリストは5年で解除されますので、生涯クレジットカードが使えないわけではありません。また任意整理にありがちな勘違いとして「生命保険に通らなくなる?」「財産が没収される?」などがありますが、まったくのデタラメです。

クレジットカードやローン、キャッシングが利用できないのは不自由ですが、現金や収入の範囲で生活する習慣を身につける機会と捉えてみてはいかがでしょうか。

ブラックリスト期間の注意点や対処法については「債務整理するとブラックリストに何年載る?期間中の対処法5つ」で紹介しています。

クレジットカードをブラックリスト期間中に作るには?

審査のいらない「デビットカード」や家族名義の「家族カード」であれば使用可能です。
特にデビットカードは、預金残高の範囲内でしか利用できないため、使いすぎの心配がなく利用できます。

住宅ローンをブラックリスト期間中に組むには?

ブラックリストから消去されるまで5年間待つのが原則です。ただしブラックリストの影響は本人以外には及びません。
したがって、夫が任意整理したとしても妻の名義であればローンの申し込みは可能です。

任意整理後の生活への影響や注意点については「任意整理後の生活が心配…クレジットカードやローンへなど7つの影響」でさらに詳しく解説しています。

任意整理でどれくらい借金が減るのか?その後の生活は?経験者に聞いてみた

Aさんの場合 (年齢・性別:40代/男性)

減らなかった借金が減るようになりました!

月々の支払いが10万ほどから任意整理後は6万くらいに減り、生活がラクになりました。その上、利息はカットしたので今は元金が支払った分減っていきます。減らなかった借金がみるみる減るのをみるとうれしくなります。

任意整理後の借金額

130万円

95万円

月々の返済額

10万円

6万円

Bさんの場合 (年齢・性別:50代/男性)

借金返済の目途が立ちました

債務整理後、借金を返済していく目途がたったことで気持ちが前向きになりました。たしかに生活は大変ですが、それでも借金がこれ以上膨らんでいくという恐怖におびえることがなくなりました。

任意整理後の借金額

300万円

200万円

月々の返済額

5万円

3.5万円

Cさんの場合 (年齢・性別:40代/男性)

返済額が350万円も減りました!

ダメ元で弁護士さんに依頼したのですが、返済額が圧倒的に減りました。頑張って返済することはもちろん大切ですが、苦しくなってどうしようもなくなるまで我慢する必要はありません。スマホひとつで任意整理ができる弁護士事務所はすぐに探せます。

任意整理後の借金額

600万円

250万円

月々の返済額

8万円

2万円

Dさんの場合 (年齢・性別:30代/女性)

浪費を見直すキッカケに

5年という期限はあるのですが、毎月ちゃんと支払えば完済という目標ができたのでとても安心できました。クレジットカードが使えないのは不便ですが、浪費ばかりしていた生活を見直すきっかけにはなったと思います。

任意整理後の借金額

300万円

150万円

月々の返済額

10万円

3万円

誰でも可能?任意整理ができる条件

任意整理は、借入先の金融機関などと交渉して借金の返済額や返済方法を決めていく手続きです。そのため借金の理由や借金額が問われることはありませんが、債権者が任意整理に応じてくれるには、一定の条件があります。

1.原則3年~5年以内に元金を完済できるだけの支払い能力

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任意整理は借金の返済の負担は軽くしても、返済自体は継続し、減額した後の残金は必ず返済する必要があります。したがって無収入や生活保護の人は任意整理できない場合があります

ただし定職にはついていなくても、1年程度勤務していて収入が安定していれば可能ですし、専業主婦や学生でも夫や親の収入が安定していれば任意整理は可能です。

2.返済の意思がある

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過払い金が発生していない限り、任意整理で借金の元金の減額はそれほど望めません。債権者から同意を得るためにも、手続き後の残高はすべて支払う姿勢をはっきり示す必要があります。

3.金融機関などからの借金である

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銀行や消費者金融、クレジットカード会社などから「借金をした」のであれば、任意整理の交渉は可能です。しかし税金や罰金といった「借りたお金」ではないものについては任意整理はできません。

任意整理ができない場合については「任意整理ができない場合もある?知っておくべき3つのケースと対処法」で詳しく紹介しています。

任意整理すべき人に当てはまる6つのポイント

ここまで「任意整理がどのようなものなのか」について、お話ししてきました。これまらの特徴を踏まえて、任意整理が有効な人をあげるとすれば、以下に当てはまる人です。

  • 借金総額が年収の1/3を超えている
  • 借金をしていることを家族にバレたくない
  • 毎月の返済が滞りがち
  • 返済していても借金残高が減らない
  • 数社から借り入れしている
  • 仕事で忙しいので手間をかけたくない

これらにひとつでも当てはまる状態であれば、当面の返済はしのげても完済には至らないケースがほとんどです。そればかりか返済が苦しい生活をズルズルと続けていると、自己破産をする以外に選択肢がない状況に陥ってしまいます

生活への影響を最小限に抑えるためにも、まずは弁護士・司法書士に相談してみましょう。

任意整理について専門家に相談してみる

任意整理の手続き方法

ここからは任意整理手続きの流れや期間、費用、必要書類について解説します。

弁護士・司法書士に任意整理の相談をしてから、借入先と合意をするまでの流れは以下のとおりになります。

任意整理手続きの流れ

任意整理にかかる期間は?

和解までにかかる期間はおよそ3ヶ月です。ただし、直接交渉ゆえに「金融機関が交渉に応じてくれない」「利息カットを頑なに拒否する」などの事情で長引くケースもあります。

3ヶ月といっても、弁護士や司法書士に任意整理手続きの依頼をした時点で借入先の金融機関からの督促は止まります。そのため「督促の電話が鳴り続ける」「一括請求されていて猶予がない」状態でも手続きは可能です。

任意整理に必要な書類は?

任意整理の手続きをする際に必要な書類は、大きく以下の6つです。

書類名 取得方法など
クレジットカードやキャッシュカード 手元にあるもの
印鑑
預貯金通帳
住民票 市町村役場の窓口で取得
給料明細・源泉徴収票 源泉徴収票は会社の給与担当者(経理係など)に問い合わせれば取得可能
債権者一覧表 借り入れをしている業者がわかれば、弁護士や司法書士が作成

個人再生や自己破産は裁判所を介した手続きになるため、用意する書類はさらに多くなります

任意整理の流れや手続き方法については「任意整理の手続き方法と必要な期間や費用・書類などまとめ」で詳しく紹介しています。

任意整理にかかる費用

任意整理の費用は、主に弁護士や司法書士への報酬です。法律事務所によって異なりますが、下記が相場とされています。

費用名 金額
相談料 0円~1万円
着手金 債権者1社あたり0~3万円
基本報酬 債権者1社あたり3~5万円
過払い成功報酬 戻った分の20%

「お金に困って任意整理を検討しているのに、何万円という金額は払えない」ように思えますが、

  • 相談料は無料
  • 分割払いが可能

としている法律事務所もあります。

また任意整理の手続きを依頼してから完了するまでの間は借入先への支払いをストップできるなど、無理なく支払える方法があります。無料相談などを活用し、費用の支払い方法については無理なく支払えるようしっかり相談しておくことがポイントです。

任意整理にかかる費用については「任意整理の費用は?今お金がなくても大丈夫!支払い方法4つ」で詳しく紹介しています。

任意整理を依頼する弁護士を選ぶポイントについては「任意整理の弁護士選びは費用以外も大事!選ぶポイント5つと注意点」で詳しく紹介しています。

任意整理について専門家に相談してみる

任意整理Q&A

最後に任意整理についてよくある疑問について、お応えします。

Q1弁護士や司法書士に依頼しなくても任意整理の手続きは可能?

A:費用をかけずにすませるのであれば、自分一人で手続きをすることもは可能です。しかし以下のような理由から自分ひとりで手続きする人はほとんどいません。

  • 交渉が難航する
  • 手続き中も取り立てが続く
  • そもそも借入先の金融機関が取り合ってくれない

Q2任意整理後にまとまったお金が入り、一括返済したいのですが可能ですか?

A:任意整理後の借金を一括返済や繰り上げ返済することは可能です。その場合、再度交渉して減額できる可能性もあります。
ただし、一括で返済したからといって、ブラックリストから消えるわけではありませんので注意してください。

Q3任意整理後にまたお金がなくなり、消費者金融などからお金を借りたいのですが…

A:任意整理をするとブラックリストに載るため、基本的には金融機関からお金を借りることはできません。
借りられる業者があるとしても、多くがヤミ金融です。
その場合は、再度任意整理をして月々の返済を減らすか、自己破産で借金をゼロにする方法などが考えられます。

Q4結婚を考えているのですが、任意整理をすると結婚に影響するのでしょうか?

A:任意整理をした事実は、戸籍や住民票に記載されませんので、相手に知られることはありません。

Q5借入先から差し押さえ通知が届きました!任意整理すると解除できますか?

A:任意整理後であれば、債権者は差し押さえることはできません。
差し押さえ通知が届いただけで実際に執行されていなければ、すぐにでも弁護士に相談し、任意整理を進めましょう。
すでに給料などが差し押さえられている場合は、残念ながら任意整理で解除できません。
その場合は個人再生か自己破産を検討する必要があります。
任意整理と差し押さえについてはこちらの記事でさらに詳しく紹介しています。

Q6任意整理するとアパートや賃貸住宅を追い出されることはありませんか?

A:ありません。
しかし滞納した家賃を任意整理する場合は、立ち退き請求をされる可能性が有ります。対処法としては家賃を任意整理の対象から外しておくことです。

Q7任意整理して返済期間を3年にしたのですが、さらに期間延長できますか?

A:返済を始めた後に収入が減ったなどの理由で返済が苦しくなった場合、再び債権者と和解契約を結び直すことで返済期間を延長することができます。

Q8任意整理は何度でもできますか?

A:任意整理には回数制限はありません。任意整理後に状況が変わり、再び借金に悩んでいるであれば、もう一度任意整理しましょう。
また返済期間を延長して月々の支払額を安くすることも可能です。

Q9任意整理したのですが、銀行口座は開設できますか?

A:可能です。任意整理したからといって銀行が口座開設を拒否することはありませんので安心してください。

Q10銀行のカードローンを任意整理すると、同じ銀行口座はどうなりますか?

A:残念ながら、その場合は銀行口座が凍結され、出金ができなくなります。そのため、専門家に依頼する前に銀行からお金をおろしておきましょう。

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